飛騨高山を代表する古窯元の一つ「渋草柳造窯」(高山市新宮町、TEL 0577-33-1150)で、新色の釉薬(ゆうやく)を使った作品が完成した。新作披露の個展を1月19日から東京・新宿の京王百貨店で行う。
渋草柳造窯は1841年開窯。以来、飛騨高山で170年間、六代目渋草柳造こと戸田柳造さんを筆頭に現在も精力的な作陶活動を続けている。飛騨の「土」にこだわり、「桜」や「青磁」に代表される独特の作風は国内外で高い評価を得ている。
今回発表される新作に使われた新色釉薬(ゆうやく)は、「薄紅縮緬釉(うすべにちりめんゆう)」と名付けられた。金を主原料とした「正円子(しょうえんじ)」と呼ばれる顔料を使い、淡いピンクの発色と「ちりめん布」のような手触りが特長。
構想から開発に約2年をかけ、窯出し4回目にして作品が完成した。戸田さんは自身の作品について、「造形は女性ラフの線にあり、色彩のイメージは『和装着物』からヒントを得ることが多い」と話す。新色釉薬の作品について、「今回ようやく納得のいく作品を発表することができたが、まだまだ改良を重ねていきたい。死ぬまでずっと追っかけっこ」とほほ笑む。
新作披露個展の「渋草焼 六代渋草柳造展」では、「薄紅縮緬釉」を使った陶磁器作品をはじめ、「構想から改良を重ね5年、さらに進化し満足がゆく作品ができた」という紺色が美しい「縹釉(はなだゆう)」の新作や「青磁」の新作も展示する。
会場では装飾品から茶道具、コーヒーカップや酒器などの一般食器類の陶磁器作品・約100点を展示。作品は販売も行う。会場は京王百貨店6階・京王ギャラリー。今月25日まで。3月14日~20日には岐阜高島屋8階・美術画廊でも同様の展示を予定する。