JR東海の除雪用機関車(ラッセル車)「DE151541」が11月17日、高山線で3日間の試運転日程を終えた。同車両は導入から30年余りがたち老朽化のため、今季の運行をもって引退が決まっている。
19時15分、昼間の騒がしさと打って変わって静かな高山駅に滑り込んだ「DE151541」は約1時間の休憩の後、20時20分、短く汽笛を鳴らし鉄道ファン数人に見送られながら美濃太田車両区(岐阜県美濃加茂市)の車両庫へと戻っていった。
同車両は1979(昭和54)年に製造されたディーゼル機関車で、JR東海に残る唯一の除雪用機関車。全長約28メートル、重量約117トン。「ラッセル車」の名の通り、線路上の雪を外にかき出す「ウイング」や、雪をそぎ落とす「フランジャ」などの装置が付いている。
同車両は今月15日から3日間の日程で、JR高山線・飛騨小坂(岐阜県下呂市)~猪谷(富山市)間約50キロの区間を試運転した。最終日となる17日は、紅葉をバックにした最後の雄姿をカメラに収めようと、高山線沿線に全国から多くの鉄道ファンが押し寄せた。
会社を休み金沢から撮影旅行で訪れたいう男性2人組は「姿形がデコボコしていて、今のツルッとしたキレイなものより味があってかっこいい車両だと思う。雪が一定以上降った夜中にしか活動しないため、こういう写真は今日が最後。この車両はダイヤ運行していたというのも魅力の一つだった。引退はやはり寂しい」と話す。
来季からはラッセル車に代わり、雪を取り込んで吹き飛ばすロータリー式の新車両「MCR(モーターカーロータリー)」が活躍する。