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「東京バナナ」ならぬ「奥飛騨バナナ」?-温泉蒸気を利用した「バナナ苗」栽培

3メートルを超す「バナナの親木」を見上げる滋野さん

3メートルを超す「バナナの親木」を見上げる滋野さん

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 北アルプス・新穂高岳の入り口、栃尾温泉郷にある「奥飛騨ファーム」(高山市奥飛騨温泉郷栃尾)が現在、春に向けた「バナナ苗」の出荷準備に追われている。

一カ月前に実をつけたという食用の「三尺バナナ」

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 「生き物を育てるのが大好き」という同ファーム代表の滋野亮太さんは4年前、「何か珍しいものを育てたい」とバナナ苗を海外から購入。高温多湿である自宅の風呂場にバナナ苗を持ち込み栽培したところ「大きく成長」、バナナの実がなった。その感動を契機に、2年前から本格的に「バナナ栽培」の研究に取り組み、一から独学でプラントのシステムや栽培プログラムを完成させた。

 同ファームの温室内は湿度100%、平均気温は30℃。実家が営む温泉宿から出る65℃の源泉かけ流しの湯が流れるパイプからは常時蒸気が立ち上っている。温室の電気は全て太陽光発電で賄う。滋野さんは「温室の中にいると、ここが標高約700メートル超、冬場はマイナス15℃以下になる奥飛騨だととても思えない(笑)」と話す。

 同ファームが現在取り扱う「バナナ苗」は、食用には適さない「観賞用」を中心に、販売価格は「中苗」(1,200円)~。寒さに強いインドやヒマラヤ原産の「ダージリンバナナ」「へレンズバナナ」「レッドタイガーバナナ」「バーミーズブルーバナナ」など6品種を販売する。個体差はあるが購入後2年以内にはバナナの実がなるという。バナナ苗購入客には、無期限で栽培アドバイスをレクチャーするサービスも。

 購入客の8割は30~40歳代の男性だという。「てっきり若い女性に受けるのかと思っていたので、ふたを開けてびっくり」と滋野さん。

 滋野さんは、「観賞用バナナ」のほか、「食用バナナ」「カカオ」「ヤシ」などの栽培もすでに成功している。「ここのバナナはもちろん完全無農薬栽培。今後は自宅横の空き地に温室を拡張し、『オーガニックの国産食用バナナ栽培』にも取り組みたい。奥飛騨・栃尾温泉の『新名物』として、PRや活性化にもつながっていければうれしい」と意欲を見せる。

 バナナ苗はホームページで販売する。

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