食べる 暮らす・働く 学ぶ・知る

飛騨一之宮で伝統工芸品「宮笠」作り-高山「二十四市」に向け大詰め

二十四市での販売を前に「宮笠」作りに励む問坂義一さん

二十四市での販売を前に「宮笠」作りに励む問坂義一さん

  •  

 高山市内中心部で1月24日に開かれる「二十四日市(にじゅうよっかいち)」を前に、飛騨各地で職人による伝統工芸品の製作作業が大詰めを迎えている。

二十四日市の様子

 「戦後の闇市」に思い出を重ねる年配者も多い「二十四日市」は、かつて旧暦の年末に正月用品などを売る「歳の市」として開かれていたもので、今も昔と変わらず新春を彩る風物詩として毎年にぎわいを見せている。

[広告]

 当日は、高山市本町通り商店街と安川通り商店街を中心に、地元農家が作った野菜や生活用品をはじめ、美濃の陶器や刃物、北陸の海産物など飛騨内外の特産品を売る店が集まるほか、チャリティーバザー、地元商店の特売など数多くの露店が軒を連ねる。

 同市(いち)で長年、伝統工芸品であり日用品でもある「宮笠(みやがさ)」を販売している高山市一之宮町の宮笠職人・問坂義一さん宅では現在、笠作り作業が大詰めを迎えている。

 江戸時代に同町へ伝わり、農閑期の重要な収入源だったという宮笠は、地元山林から切り出したヒノキやイチイを細長い薄板にして編み合わせ、直径30~60センチの竹の骨組みに固定して円すい形の帽子に仕上げたもの。

 通気性と耐久性に優れ、晴天時は木が乾燥して風を通し、雨天時は膨張して水を通さない。丈夫で軽く修繕も容易なため、地元では100年近く使い続けられているものも珍しくない。

 問坂さんによれば、宮笠職人の家は戦後のピーク時には同町だけで約120軒あったというが、高度経済成長期を境に加速度的に減少し、今では高山市内に3軒を残すのみ。職人はいずれも高齢で、同町で唯一人残る問坂さんも今年で77歳を迎える。

 問坂さんは「物心ついたころからはや60年以上笠作りをやっているが、今はどんなに頑張っても1日5枚作るのがやっと。海外で大量生産するレプリカに押されて職人の数も減り、残念ながら売り上げも伸ばせない。でも実際に使ってみれば機能の差は歴然。本物の価値を分かってくださる方のために体が動く限り作り続けたい」と力を込める。

 当日は本町2丁目山桜神社付近で大きさ、デザイン、素材違いの「宮笠」全11種類150枚を用意し、1枚2,000~5,000円で販売する予定。

 会場ではこのほか、煮物の形を崩さずにすくえる一木削り出しの木じゃくし「有道(うどう)しゃくし」(高山市久々野町)や、稲ワラで作った防寒具「江名子ばんどり」(江名子町)など飛騨伝統の手作り民芸品の実演販売も行う。

 「二十四日市」の開催時間は10時~17時。雨天決行。同日11時~14時、会場近くの高山陣屋前広場(高山市八軒町)でも、飛騨農林事務所などが地元産の野菜やきのこを使った「飛騨の満菜鍋」の振る舞いを行う(無くなり次第終了)。