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高山の団子店「福太郎」がリニューアル-店内にペレットストーブ専門店も

店を切り盛りする田掘さん親子(写真左から繁さん、千江子さん、文範さん)と全面改装した「福太郎」店内

店を切り盛りする田掘さん親子(写真左から繁さん、千江子さん、文範さん)と全面改装した「福太郎」店内

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 高山に昨年1月オープンしたみだらし団子専門店「福太郎」(高山市下三之町、TEL 0577-35-6777)が3月20日、リニューアルオープンする。

リニューアルした「福太郎」の外観

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 建築設計士で大工でもある店主の田掘文範さんは、同業の兄・繁さんらと共に、明治初期の建築という古民家物件の同店を1年がかりで改装した。

 「『元からある物を生かす』が当店のコンセプト」と文範さん。「そうは見えないかもしれないが構造柱以外全てを改築。建物をまず骨組みだけにして梁(はり)のゆがみなどを直し、いろりの煙が昇る吹き抜けの天井、漆喰(しっくい)の真壁、タタキ土間、塗装は消し炭や天然植物油を使った古色仕上げ、雨ざらしの建具を改修して使用するなど、自分たちができる限界のぎりぎりまで飛騨の伝統建築工法の技術を注ぎ込んだ」と話す。

 店舗面積は約30坪。手製の12人がけ「いろりテーブル」や8畳の和室を備えた無料休憩所、アートギャラリースペース、地場産にこだわった特産品や個人クラフト作家の作品を置く土産物コーナー、「田堀家の田畑(福太郎農園)」で収穫した米、自家製の餅、旬の露地物野菜、山菜などが並ぶ農産物直売所を設ける。

 店内には、国内外8メーカーを取り扱うペレットストーブ専門店「暖炉家 飛騨高山」も併設オープン。今後は同店をきっかけに、地元の製材所や工務店から出る端材やおがくず、建築廃材などをペレット燃料に変える「ペレタイザー事業」を進め、木質資源を無駄にしない循環型ライフスタイルを提案する方針という。

 このほか、アートギャラリーコーナーの常設展示スペースでは、地元在住のカメラマン・松山昇さんが撮影した槍穂高連峰など飛騨の山岳風景を紹介する「北アルプス写真展」を開催する。

 改装に伴い、看板商品の「福太郎団子」(1本=70円、10本=600円)に加え「原料から製造まで全て自家製」というこだわりを引き継いだ新メニューも。ラインアップは、自宅で飼育する地鶏の卵と米粉を使った「シフォンケーキ」(1カット350円、1ホール=2,100円)、自家焙煎(ばいせん)コーヒー(300円、豆売り・全4種=50グラム250円)、「福太郎五平餅」(250円)など。

 文範さんは「かつては大学で考古学を専攻しており、今でもライフワークの一つ。そのせいか、何でも自分の目で確かめ検証して納得しながらでないと気が済まない(笑)。日々の暮らしの中では、商工でなく匠工(しょうこう)、『農業』でなく生活と共にある『農』を自分のポリシーにしている」と話す。

 「日本の田舎には昔からありふれた良い物いっぱいあるのに、多くの人は気付いていなかったり忘れていたりする。それを途中で途切れさせないのが地元民の役目。私の関心は昔からあるものをどう生かして次につなげるかだけ。最終的に『新しい』と人が言うならそれだけのことだと思う。団子1本から楽しい飛騨高山を知るきっかけとなるような店にしていきたい」と笑顔を見せる。

 営業時間は9時30分~17時。

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