高山市公設地方卸売市場(高山市問屋町)で12月24日、江戸時代から続く歳末恒例の「塩ブリ市」が行われた。
脂ののった寒ブリを塩漬けにした「塩ブリ」は、山国の飛騨や信州で「年に一度の大ごちそう」として昔から珍重されてきた高級食材。飛騨地方では今も、大みそかに家族で食卓を囲む「年取り」行事や正月に、出世魚の縁起にあやかって塩ブリを食べるのが習わしとなっている。
市場にはこの日、富山湾で水揚げされた天然物の塩ブリの半身20本がズラリと並んだ。寒気をついて市開始を知らせる鐘が鳴り、法被姿の競り人が塩ブリを高々と掲げながら産地を呼び上げると、集まった40人の買い受け人から「4万貫」「5万貫」と威勢の良い声が飛び交い、次々と競り落とされていった。
最高値は富山県氷見産の重さ10.9キロ=10万9,000円。1キロ当たりの落札価格は、安値2,500円~高値1万円と前年比3,000円高で取引された。市場管理事務所によると「今年の天然物は大型の上物が多い」という。
塩ブリの取り扱いは今月29日まで続き、生ブリを含め天然物と養殖物合わせて3700本を出荷する見込み。競り落とした塩ブリは27日ごろから飛騨各地の店頭に並べられる。