高山市公設地方卸売市場(高山市問屋町)で12月12日、飛騨伝統の正月飾り「花もち」の競り市が始まった。
花もちは、生花の入手が困難だった昔の飛騨地方で新年を祝う迎春花の代わりとして考案された飾り物で、一年の豊作や招福を願いケヤキやカエデなどの台木に短冊状に切ったもちを巻き付けて作る正月飾り。
初日は、高さ30センチほどの卓上サイズから2メートル以上の特大まで約950株が入荷し、威勢のいい競り人の掛け声が響く中、買い受け人たちに次々と競り落とされていった。最高値は3万8,000円。売れ筋の50センチ~80センチは1,500円~2,000円で取引された。
冬一番の寒気が上空に流れ込んだ影響でマイナス1度と冷え込んだこの日の朝、高山市内では10~15センチほどの雪が降り積もった。買い受け人の一人は「飛騨の市場では雪が降ると縁起が良いとされている。理由は冬に備えてみんな慌てて物を買いに走るため景気が良くなるから。歳末に向けて明るい兆し」と笑顔を見せる。
競り市は今月25日まで随時行われ、期間中約3000株が入荷する予定。花もちは地元のスーパーなどで販売される。