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高山・幻のスモモ「塩屋桃」、収穫最盛期-ひょうとカラス被害乗り越え出荷へ

手塩にかけ育て上げた「塩屋桃」を手に同好会メンバーの谷口達郎さん

手塩にかけ育て上げた「塩屋桃」を手に同好会メンバーの谷口達郎さん

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高山市塩屋町で現在、「塩屋桃(しおやもも)」が収穫の最盛期を迎えている。

「今年は甘みが強く優作」という塩屋桃

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 同町特産の「塩屋桃」は、メロンを超える糖度とたっぷりとした果汁、まろやかな舌触りと香りが特徴の赤身のスモモ。年に一度のわずかな期間にごく少量しか市場に出回らず、地元民すら入手困難なことから「幻のスモモ」とも呼ばれている。

 1970(昭和45)年ごろ、高山市内のとある果樹農家が従来のスモモを独自の栽培技術で甘みののった品種へと改良し、その苗を一人の青年農家が譲り受け試行錯誤の末、塩屋町内に根付かせたのが始まり。

 2003年3月、全国紙の紙面上で江戸歌舞伎役者の3代目市川猿之助さんが「数年前から後継者のとある女性が毎年送ってくれる『幻の桃』が素晴らしい。桃であって桃でない。何とも言えない官能的な味で自分の目指す芸の道にも重なり合う」と紹介。以降、口コミで全国から注文が殺到するようになり「幻度」に年々拍車がかかっている。

 塩屋町では10年ほど前から、栽培農家の高齢化と人手不足に悩む塩屋桃を次世代に残そうと30~60代の地元有志が集まり「しおやもも同好会」を組織。現在、会社員、公務員、大工など63人のメンバーで40本の原木を守っている。

 同会事務局の谷口達郎さんは「今年は例年に増して豊作で、大勢の方に塩屋桃を知っていただけるチャンスと喜んでいたが、実に袋をかける直前の6月下旬、ひょうが降り大打撃を受けた。その結果8割が傷物となり、加工用へと回すよりほかなくがっかりした。残る2割で何とか予約出荷分を賄い販売にこぎ付けた。今年は大ぶりで甘みの強い優作だっただけに残念…」と悔しがる。

 「一難去ってまた一難。目下一番の天敵はカラス」とも。「不思議と明日か明後日(あさって)に収穫しようと思っている桃ばかり狙われるが、みんな専業でなく仕事を抱えながらなので見張りも付けられない。桃の収穫完了まであと数日。カラスが先か人間が先か。残る実を守りたい」と表情を引き締める。

 価格は1個200円。「高山市アンテナショップ・まるっとプラザ」(高山市本町2)でバラ売りも行う。入荷は8月10日ごろまで(店頭に無くなり次第終了)。来年分の予約は同会事務局(TEL 0577-34-7809)まで。

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