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飛騨清見で「さくらそう展」-DNA解析で判明、地元の新種も展示

清見町固有種とみられる新種のサクラソウを展示する

清見町固有種とみられる新種のサクラソウを展示する

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 ウッドフォーラム飛騨(高山市清見町、TEL 0577-68-2338)で5月10日、間もなく見頃のピークを迎える地元のサクラソウにスポットを当てた「さくらそう展」が始まった。

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 昨年から始まった同展は今年で2回目。清見町に咲くサクラソウの生態に興味を持ってもらい保全活動につなげようと、地域住民が主体となり高山市と企画した。

 「サクラソウ」は、日本各地の低湿地に分布するサクラソウ科の多年草。古来より園芸植物として多くの愛好家に親しまれ、江戸期には数百種に及ぶ品種が生まれたといわれているが、野生種の群生地は全国でも数少なく貴重。さいたま市桜区の群生地は国の特別天然記念物に指定されている。

 企画スタッフによると、かつて清見町にも野生種のサクラソウが自生する群生地があったが、中部縦貫自動車道の開発工事で跡形もなく消滅。そんな折、地元男性の一人が春先に各家の庭先や鉢植えに咲くサクラソウを見て、「もしかすると、群生地にあった野生種が残っているのでは…」と思いついたという。

 そこで、日本全国のサクラソウ研究で知られる筑波大学、神戸大学の研究者に協力を仰ぎ、昨年度から清見町の民家の庭先に咲いているサクラソウを調査。DNA解析の結果、今までに無い特徴を備えた13種類の花が新たに見つかった。町内でも牧ケ洞、大原、大谷など地域によって異なり、それぞれに固有種の可能性があるという。野生種かどうかは今後の研究で明らかになる。

 会場には、清見町で見つかった13種類のうち8種類を計50鉢、現物展示するほか、先月4月末に国立博物館筑波大学実験植物園(茨城県つくば市)で行われた「さくらそう展」の企画「桜草と江戸の園芸植物」を併設展示。古典園芸が隆盛を極めた江戸時代の品種改良の様子を34枚のパネルで紹介する。

 この日、見学に訪れていた地元在住の50代女性は「花が好きで、サクラソウは4~5年前に近所の知人に株分けしてもらった。比較的繁殖力が強く手が掛からないので基本放置(笑)。これまで花の色くらいしか注目してなかったが、花や葉っぱの形にもこんなに種類があるなんて思わなかった。面白い」と話す。

 同展では現在、清見町地内在住者を対象に、各家庭で育てているサクラソウも募集している。持ち込んだサクラソウは期間中、主催側で鉢植えに移植し展示する。「当展をきっかけに、サクラソウ栽培を楽しむ地元民のネットワークをつくりたい。関心を高め合いながら野生種の群生地復活を目指したい」と期待を寄せる。問い合わせは高山市清見支所地域振興課(TEL 0577-68-2211)まで。

 入館時間は9時~16時。入館無料。5月25日まで。

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