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「飛騨高山ウルトラマラソン」にランナー1718人-飛騨勢初の入賞者も

高山市内の「古い町並み」を一斉に走り抜けるランナーたち

高山市内の「古い町並み」を一斉に走り抜けるランナーたち

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 高山市内で6月9日、100キロと72キロの2種目に分かれ累積標高差2700メートルのコースを駆け抜ける「飛騨高山ウルトラマラソン」が行われた。

ランナーたちに声援を送るサル姿の男性2人組

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 市街地や高原の一般道を使った日本屈指の過酷なコースを走る同大会は今年で2回目。今回は昨年の人気に伴い募集枠を倍に増やしたところ、38都道府県から1929人の申し込みがあり、当日は100キロと72キロ種目合わせて1718人(男子1464人、女子254人)が出走した。

 日中最高気温が29℃まで上昇したこの日、終始強い日差しと暑さがランナーたちを苦しめる中、800人以上の地元ボランティアスタッフが大会をサポート。地元民も手製の横断幕を掲げるなどして沿道から大きな声援を送った。

 コース途中、50キロ地点手前にある連続した登り坂の頂上付近では、サルの着ぐるみ姿の男性2人組が私設のエードステーションを開設。愛知県出身の会社員で現役ランナーの徳田さんと中島さんは、国内ウルトラマラソン大会の常連選手の間ではおなじみの人物という。

 2人は「頑張れ、あと少しで坂道終わって下り坂。ナイスラン。まだ完走できるよ、絶対に諦めるな」とエールを送り続け、坂を駆け上ってくるランナーたちを励ました。

 徳田さんは前大会に出場、上位ゴールした実力者。「普段自分たちがしてもらっていることへせめてものお返し。経験上、この場所は前半最大の山場。エードステーションもなくゴールの見えない坂道が連続するので心が折れそうになる。でも50キロ中継地点を踏ん張って越えれば完走への可能性はグッと高まる」と話す。

 「ウルトラでは、走行中体がスポーツ飲料を受け付けなくなる。その代わりに異常に飲みたくなるのが炭酸飲料。ほん少しだが頑張れる力を後押しできれば」とも。この日2人が自費でランナーたちのために用意した10リットル以上の炭酸飲料は、またたく間になくなった。

 中島さんは「ウルトラの魅力は、人との交流。サポートや応援してくれる地元の方々はもちろん、選手同士もライバルでなく戦友のような気持ちになる。終盤を走っているランナーなんて、もう見てるだけで泣けてくる。ラップタイムを競い合うフルマラソンとは違ったドラマがウルトラにはある」と話す。

 今大会の総合完走率は75.2%(100キロ=69.7%、70キロ=80.87%)。各種目別優勝者は、100キロ男子=宮崎忠勝さん(7時間59分16秒、富山県)、100キロ女子=坂根充紀栄さん(8時間59分09秒、京都府)、72キロ男子=岡村豊明さん(5時間41分13秒、2大会連続優勝、愛知県)、72キロ女子=松下直子さん(6時間59分45秒、京都府)となった。

 100キロ男子優勝者の宮崎忠勝さんは「普段は地元で小中学生に陸上長距離を指導しているが、40歳を過ぎてからフルマラソンにカムバックした。ウルトラは初挑戦で、練習が生きた結果につながりうれしい」と喜びを語った。

 72キロ男子では、高山市出身の谷口善隆さんが飛騨勢初で唯一の3位入賞と好成績を収めた。

 谷口さんは「ウルトラ初挑戦。いきなり100キロは不安だったので、ここは手堅く72キロ優勝で副賞の飛騨牛を獲ろうと思った(笑)。地元なので実地練習もして、千光寺の峠をスローペースで体力温存する作戦は裏目に出たが、目標タイムの6時間は切ることができたのでうれしい(5時間46分26秒)。最後まで頑張れる原動力になった妻や生まれたばかりの子どもに感謝。来年もできればリベンジしたい」と笑顔を見せた。

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