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飛騨小坂「がんだて公園」で結婚式-「巌立婚」、5万4000年で初の試み

巌立の前で結婚式を挙げた山下賢太郎さん(右)と馬込佳代さん(左)

巌立の前で結婚式を挙げた山下賢太郎さん(右)と馬込佳代さん(左)

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 飛騨小坂の「がんだて公園」(下呂市小坂町落合)で11月10日、同町在住の山下賢太郎さんと馬込佳代さんの結婚式が行われた。

岐阜県天然記念物の「巌立」

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 同公園の対岸にある「巌立(がんだて)」は、約5万4000年前といわれる御嶽山噴火の溶岩が流れ着いてできた高さ72メートル幅120メートルの柱状大岩壁で、岐阜県の天然記念物。地元民の話によれば、巌立の前で婚礼挙式を行ったケースはこれまで一例もなく、古い書物や言い伝えにも記録がないという。「おそらく5万4000年史上初の結婚式では」と話す。

 新郎の山下さんは5年前から同地で週末、滝巡りなどのボランティア自然ガイドを務めている。結婚式はガイド仲間が集まるNPO法人「飛騨小坂200滝」と企画。「巌立婚」と銘打ち、地元民などの協力も得て1年がかりで準備を進めてきた。

 「巌立で結婚式をやったら面白いのではという話は前々からあり、自分も絶対ここで結婚式を挙げたいと思っていた。巌立はロケーションも最高だし、もし後に続く人が出てくれば新たな町の活性化にもつながる」と山下さん。

 新婦の佳代さんは岡山県倉敷市出身。昨年10月、御岳山の頂上で山下さんからプロポーズを受けた。「小坂は人と自然が素晴らしくてとてもいいところ。結婚式準備にも、周りの皆さんが快く協力してくださった。これからゆっくりと感謝をお返ししていきたい」と話す。

 当日はあいにくの雨模様となり、予定していた旧登山道からの花嫁行列は中止となったが、現地の氏神を祭る冨士神社の宮司が予定通り巌立の前で神事を執り行った。同神社の氏子らによる闘鶏楽(とうけいらく)や神楽(かぐら)の奉納、旅芸人「おいかどいちろう」さんによる祝いの演舞も披露された。

 式では「夫婦相和し終生変わらぬ」誓いの言葉や指輪交換が行われ、新郎新婦の友人・縁者約60人のほか、居合わせた観光客たちが新たな2人の門出を祝福した。式終了後には、新郎新婦で手作りした縁起物の「そば粉クッキー」が来場者に振る舞われた。

 観光客の一人は「もともとこの土地にある結婚式の形なのだろうと思って見ていたので、後で2人の手作り結婚式だと聞いて驚いた。思い出ってこうやってつくるものなんだと学ばせてもらった」と笑顔を見せた。

 山下さんは「巌立から大きな力を頂いた感じがした。今後、自分たちも『巌立婚』を挙げてみたいという人がいたら全力でサポートしたい」と期待を寄せる。

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