高山のパン職人・成瀬正さん率いる日本チームが3月7日、フランスで行われたパンのワールドカップ・「2012 クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー」で優勝を果たし世界の頂点に輝いた。日本チームの優勝は2002年大会以来10年ぶり2度目の快挙。大会結果は1位=日本、2位=アメリカ、3位=台湾となった。
31歳~40歳のパン職人3人で構成された日本チームのキャプテンを務めた成瀬さんは、ベーカーリー「TRAIN・BLUE(トラン・ブルー)」(高山市西之一色町、TEL 0577-32-1961)のオーナーシェフ。自身も2005年大会で選手として出場、総合3位を獲得した経験を持つ。
「クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー」(以下クープ・デュ・モンド)は3年に1度、フランスで開催される「パンのワールドカップ」。パリノール見本市会場で行われた今大会には世界から12カ国が参加し、与えられたブースと限られた材料の中で4部門、「バゲット&パン・スペシオ」「ヴィエノワズリー(クロワッサンやデニッシュ)」「飾りパン」「パン・サレ(チームの共同製作)」の規定品目を8時間以内に仕上げ、技術・スピード・芸術性を競った。それぞれ重量・味・ボリューム・外観・オリジナリティーと芸術性・技術力が審査された。
日本チームは昨年5月、中国で行われたクープ・デュ・モンドアジア予選の「ルイ・ルサッフル・カップアジア大会」で、会場に材料・機械などレギュレーションに記載されているものが無いなど中国事情が反映される中、見事アジア代表として本選出場権を獲得、今大会に臨んでいた。
世界大会を終え成瀬さんは「日本チームの流れるような美しい仕事ぶりと繊細な技術力が世界で評価された」と勝因を分析。「飾りパン」部門では東日本大震災への鎮魂の祈りを込めて「鶴」をモチーフとし、繊細で独創的な作品を仕上げた。「この優勝をきっかけに、全国の皆さまにより一層パンへの興味を持っていただければうれしい。われわれパン職人も技術の研さんを積んでいくことにつながる」と感想を語った。