高山市松之木(まつのき)町で7月29日、毎夏恒例の「松之木七夕祭り」で使う大しめ縄の「大縄綯(な)い」作業が行われた。
同町の町境には、川と国道を挟んだ山の両端に「七夕岩」といわれる夫婦(めおと)岩があり、同地では300年以上前から町内行事の「七夕祭り」が行われている。祭りでは、五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全などの願いを込め約80メートル離れた「男岩」と「女岩」の間にワラ飾りをつけた大しめ縄を張る。
かつては自然に切れ落ちる時期でその年の収穫を占ったという七夕岩の大しめ縄行事も、真下を通る道路が国道に昇格した数年間、安全事情により中止となった時期があった。その数年間に子どもが3人水死するという事件が起こったため伝統行事復活の声が高まり、現在では期限1カ月の条件付きで大しめ縄が張られている。
しめ縄は、町内各班が持ち寄った約10メートルの大縄をつないで作る。祭りが近づいたこの日、町内7カ所の班では男衆らによる大縄作りが一斉に行なわれ、合わせて25本が完成した。
作業を終えて、参加者の一人は「伝統行事と現代社会の暮らしとの兼ね合いは大変だが、ここに住む以上こういうものだと思っている。今年も町内のみんなで協力していい縄が作れて良かった」と笑顔を見せる。
「松之木七夕祭り」は8月6日、20時から「七夕岩の大しめ縄張り上げ」が行われる。