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高山の職人4人がチーム結成、共同で商品開発-「パッセ」プロジェクト

「パッセ」のスタメン4人と第1弾開発商品の「忘れな盆」

「パッセ」のスタメン4人と第1弾開発商品の「忘れな盆」

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 高山市内に住む職人4人が6月13日、飛騨の伝統工芸技術の継承と発展を目指すプロジェクトチーム「パッセ」を結成し、第1弾となる新商品「忘れな盆」を共同製作した。

「忘れな盆」最高級組み合わせの一例

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 飛騨の木工芸に携わる40代~60代の異業種の職人たちが集まり始動する同プロジェクト。スターティングメンバーは、塩谷秀雄さん(清見町、TS産業=木工クラフト作家)、西田恵一さん(大新町、西田木工所=木地師)、阿多野一夫さん(七日町、阿多野春慶=飛騨春慶塗師)、鷲塚浩さん(片野町、鷲塚彫刻=一位一刀彫師)の4人。

 チーム名「パッセ」はポルトガル語で「パス」という意味。プロジェクトリーダーの塩谷さんによると、4人はみな高山市内の草サッカーチームに所属。それぞれ別のチームで長年サッカーに親しむ顔見知りだったが、仕事上の付き合いをすることはこれまで全くなかったという。

 「今年のサッカーワールドカップがきっかけの一つ。今、飛騨の伝統工芸は職人絶滅の危機ということもあり、伝統工芸の日本代表チームを作らないかと呼び掛けた」と塩谷さん。

 「新開発商品をシュート、エンドユーザーをゴールとするなら、多種多様なライフスタイルは立ちはだかる敵チーム。そこで多芸多才なファンタジスタの登場を待つより、得意分野に特化した職人同士が技を持ち寄り、戦略を練り、細かくパスをつなぐチームプレーをすればシュート成功率も高くなるのでは」と話す。

 4人が考えたプラン第1弾商品は、「忘れな盆(わすれなぼん)」。無垢(むく)材を使ったオーダーメードの箱型置き皿で、大きさは20センチ×27センチ、高さは5センチ(彫刻部分除く)。メガネや腕時計、車のキーなど身に着ける物がまとめて置けるほか、箱の中が空洞になっており、本体がそのまま音響スピーカーとなるギミックを併せ持つ。

 材質はトチ、ナラ、カエデ、ケヤキなど10種類の飛騨の木材から好きな素材を選べる。塗料はプレーンから飛騨春慶の漆塗りまでお好みで塗り分ける。スマ―トフォンやタブレットを立てかけるための支えは、一位一刀彫りの彫刻物。職人が客のリクエストに応じて一つ一つ手彫りする。

 価格は1万8,000円~4万5,000円ほど。組み合わせは無限大。材質や塗料、彫刻の難易度によって価格が変動する。メンバーたちは「まだまだ試合は始まったばかり。いったいどんなボールが返ってくるのか。お客さまとのパスのやりとりが楽しみ」と笑顔を見せる。

 「伝統文化チームが連携して作る新しい暮らしの商品の提案は、次世代を受け継ぐ職人たちに向けたパスでもある。サッカー日本代表チームも頑張っている。私たちも近い将来、日本代表として戦えるよう世界を目指したい」と意欲を見せる。

 販売は7月上旬の見込み。現在、飛騨市河合町特産の山中和紙を使った「捨てるには惜しい取扱説明書」を鋭意制作中という。「パッセ」の商品に関する問い合わせは、TS産業・塩谷さん(高山市清見町、TEL 0577-68-2104)まで。

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