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「高山旭座」閉館-飛騨唯一の映画館、30年の歴史に幕

「高山旭座」閉館-飛騨唯一の映画館、30年の歴史に幕

閉館する高山旭座との別れを惜しむ来館者たち

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 飛騨地域で唯一の映画館「高山旭座」(高山市三福寺町)が9月1日、閉館した。

最後の上映館を後にする来館者たち

 同館は1984(昭和59)年、飛騨市古川町から高山市内に移転。国内外の映画文化を伝える娯楽施設として地元民たちに親しまれてきた。30年間で約1500本の映画を上映してきたが、入館客減少などによる理由で今年6月、閉館が決まった。今後、跡地には地元のスーパーマーケット「ファミリーストアさとう」が出店する予定。

 最終日となったこの日は、「やめないでほしい」という地元ファンの声に応え、8月31日の予定だった閉館日を1日延ばし、全館=大人一般1,000円、大学生以下900円、さとうカード会員500円で「旭座最後の1日・特別サービスデー」と銘打った特別上映を行った。

 最後の上映ラインアップは次の通り。(以下、上映館=作品名、※印は閉館記念リバイバル作品) オスカー1=「超高速!参勤交代」「レ・ミゼラブル(※)」、ミラノ2=「トランスフォーマーロストエイジ」「あなたへ (※)」、ウエスト3=「マレフィセント」「春を背負って」「呪怨」、サウス4=「もういちど」「アナと雪の女王3D(日本語吹き替え版)」。

 「もういちど」は、今年4月に神奈川県川崎市から高山市に移住した古川誠さん(同作品撮影監督)が旭座閉館を惜しんで「もう一度、旭座の客席を満員にしたい」と市民と有志の会を結成して配給会社に掛け合い、今月23日の封切りから8日間限定で特別上映した映画。同31日には、原案・脚本を手掛けた板屋宏幸監督も同館に駆け付け、1日3回の上映回全てで舞台あいさつを行った。

 このほか、7月には市民有志が「飛騨の風土にあった映画を地元映画館のスクリーンで見たい」と同館に掛け合い、予定プログラムを変更して矢口史靖監督の映画「WOOD JOB!」を短期間特別上映するなどの取り組みも行われた。

 同館支配人の牛丸昭則さんは「この1カ月間、当館で映画を見たいと多くの人が足を運んでくれた。週末には駐車場に車がたくさん並ぶなど、かつてのにぎわいが戻ったようでとてもうれしかった」と話す。「映画館で見る映画を好きでいてくれる人が、まだ飛騨にも思っていた以上にたくさんいると分かって少し安心した」とも。

 週末に続きこの日も駐車場は満車状態。チケット売り場は外まで行列ができるなど大きなにぎわいを見せた。最終回上映後は牛丸さんが映写室から出てロビーに立ち、深々と頭を下げながら一人一人に「ありがとうございました」と声を掛け来場客を見送った。全ての上映が終わった後も同館の前には多くの人が居残り、記念撮影をしたり思い出話に花を咲かせたりして名残を惜しんでいた。

 会社帰りに駆け付けたという30代男性は「携帯電話もインターネットもないころは、家の電話から『旭座ムービーダイヤル』で映画上映時間をチェックするのが常だった。電話口から聞こえる芝居がかったおじさんの独特の語り口調が大好きだった」と振り返る。――同ダイヤルの声は、同館オーナーの吉田栄次さんが長らく担当し、3年ほど前からは牛丸さんが担当していた。

 高山市内に住む20代男性2人は「閉館するからみんな来るというのも何だか世知辛い話だが、自分も行っておけばよかったと後悔したくなかったので来た。ここはよく旬を過ぎた話題作でも上映してくれたので、よそで見逃しても『旭座があるから』と安心して見に来られる所が逆によかった。これからはDVDを借りるしかないのかと思うとすごく寂しい」と肩を落とす。

 学校帰りに立ち寄ったという地元の女子高生2人組は「小さいころ、たまに親に連れて行ってもらえるのが楽しみで仕方なかった。映画館のない飛騨ってこれからどうなるんだろう」とつぶやく。

 同館近くに住むという40代女性は「家から歩いて3分とかからないので、開館当初から家族ぐるみで本当によく利用させてもらった。旭座に育ててもらったような子どもたちが、すごくショックを受けているのを見ると切なくなるが、限界まで経営を続けていただいて感謝の気持ちでいっぱい」と目を潤ませていた。

 牛丸さんは「映画はこれまで100年以上、あらゆる逆境の波を越えてきた産業。永遠に不滅だと私は思っている。上映館はいったん無くすとゼロから作るのは大変難しいと思うが、人と映画がある限り、次世代か次々世代か、いつかどこかできっとまたチャンスが巡って来ると信じている」とほほ笑む。

 22時、館内最後の明かりが消えると、見送りに集まった人たちから「ありがとう」「おつかれさま」の声と拍手がこだまし、飛騨唯一の映画館が30年の歴史に幕を閉じた。

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