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飛騨国府限定酒の販売始まる-「いしはら酒店」の手書きラベル、今年の漢字は「愛」

一筆一筆、心を込めて限定酒のラベルを手書きする石原嘉子さん

一筆一筆、心を込めて限定酒のラベルを手書きする石原嘉子さん

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 高山市国府町の酒販店で12月20日、冬季限定酒「樽出し一番にごり酒」の販売が始まった。

店頭に並んだ「樽出し一番にごり酒」

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 同商品は、高山市国府町の6軒の酒販店で組織する「国府酒販倶楽部」が販売を手掛ける清酒「飛騨国府のしずく」の「生にごり酒」バージョン。酒造過程で「もろみ」をこさず火入れ処理を一切しないため、発酵の進み具合で香りや口当たりが変わりさまざまな風味を楽しめるのが特長。

 きっかけは15年前、「これといった名産品のない生まれ故郷で、郷土の誇りとなるような全国に類を見ないオリジナル日本酒を作りたい」との一般女性の熱意から商品化。原料の酒米は、同町の米農家が農薬の使用を最小限度に抑え有機肥料と天然由来の植物活性酵素で栽培したという「ひだほまれ」。

 「個人農家で生産した酒米を酒造場へ持ち込み特別醸造、超少量生産」というこだわりのため販売コストがかかりすぎ、ラベル作りや帯封貼りは酒販店が全て手作業で賄う。現在、同町の各店には品質表示ラベルのみの「無地のビン」状態で商品が入荷。それぞれの店主らが思いを込めて手書きラベル作りを行っている。

 明治期創業の「いしはら酒店」(高山市国府町広瀬)を営む石原嘉子さんは「全部売れてももうけはほんのわずか。心意気だけで売っているようなものだが、地域のみんなで開発した愛着のある商品だし、毎年このお酒や手書きラベルを楽しみに待っていてくれるお客さまが何よりの励み」と目を細める。

 石原さんは近年、ラベルに「自分が選ぶ漢字一文字」を書き込んでいる。今年は「愛」を選んだ。

 「清水寺じゃないけどね。私は『金』より『愛』。先行き不安な国内外の問題や政権交代などいろいろあった1年だったけど、一番大切なのは自分以外の人を思いやる『愛』の心。世の中を動かす皆さんには、このことを忘れず頑張ってほしい」と笑顔を見せる。

 価格は1本300ミリリットル入り750円。高山市国府町内の「いしはら酒店」「太田商店」「垣添酒店」「野村酒店」「船坂酒店」「森下酒店」で冬季限定販売(店頭になくなり次第終了)。

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