飛騨初の野球グラブ修理職人誕生-スポーツ用品店社長が難関一発合格

早速注文のグラブ修理を行う久保田さん

早速注文のグラブ修理を行う久保田さん

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 高山市のスポーツ用品店「山都スポーツ」(高山市花里町4、TEL 0577-34-3434)社長の久保田彰さんが11月7日、野球グラブ修理の難関資格「エキスパート・グラブ・リペアマン」を取得した。

念願の資格証を手にする久保田さん

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 同資格は大手スポーツメーカー「ミズノ」のグラブ工房「ミズノインダストリー波賀」(兵庫県宍粟市)が発行する国内唯一の野球グラブ修理専門資格。

 これまでの保有者は岐阜県で1人。今回、飛騨で初という難関を突破した久保田さんは、高山市で58年続くスポーツ用品店の3代目社長。野球用品を中心に取り扱う同店は、地元内外から「品選びの目利き」として久保田さんを頼りに訪ねる人も多く、野球人からの信頼が厚い。

 「選手の手になじんだグラブは繊細なため、これまでは修理を持ち込まれてもメーカーに送るしか方法がなかった」と久保田さん。「手元に戻るまでに1カ月待ちは当たり前、早い物でも2週間。『明日試合なのに、グラブが壊れた』と持ち込んだお客さんを砂をかむような思いで見つめてきた」と話す。

 「なんとか自分の店で修理を」――5年前、資格挑戦を決意した。基本の「ひも替え」から練習を始め、閉店後の店内で1人ひたすら修理に必要な技能の腕を磨いた。

 波賀のグラブ工房で行われた試験は実技や講習を合わせ全3日間。実技内容は、ミシンでの破れ補修やヘリ皮の縫製など6項目。1時間の制限時間内に1回でもミスをしたら終わり。同店に出入りしているメーカー担当者からは「心配しなくても1回目の試験はみんな落ちるもんですから」と聞かされていた。

 試験の結果は一発合格だった。「自分でも信じられないが、練習の数だけは誰よりもこなしている自信があった」と久保田さん。

 「試験には受かったが、ものに完璧ということはない。どんどん修理依頼を受けてまだまだ腕を磨きたい。『修理に出される前よりも出した後の方が使いやすくなっているように』とはグラブマイスター岸本耕作先生の言葉。究極は、メーカーの修理よりも山都の方がうまいと言われるようにまでなりたい」と笑顔を見せる。

 営業時間は10時~20時。火曜定休。

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